対象は、あくまであくまで「これから雇用しようとする人」。
ですから、タイミングは雇用時や派遣契約時ではなく、マッチングの段階です。
説明する事項は、つぎの3点。
①賃金額その他の待遇に関する事項
②事業運営に関する事項
③派遣制度の概要
これらのうち、①の賃金額については書面で交付する必要があります。
すなわち、文書、FAX、メールなどを用い、メールの場合は本文に記載しなければなりません。
賃金額を表示したURLへのリンク等のみは、認められません。
それ例外の事項については、文書、FAX、メールなどのほか、ホームページへの記載や、リンク先の表示でも構いません。
少しややこしいですが、しっかり確認しておくことが大切です。
賃金額については、書面等で明示しなければなりませんが、これは必ずしも実際の契約内容ではなく、「見込み」額で構いません。
すなわち、時給や日給そのものを明示しなくても、
・1か月80,000円~100,000円 とか、
・1週間で25,000円~30,000円
といった内容でも大丈夫です。
また、事業運営や派遣制度の説明については、自社のパンフレットを交付したり、ホームページのURLをしめすことでも構いません。
実際、この待遇に関する説明義務を果たしていくために、ホームページを変更したり、ページを追加している会社も多いですね。
より伝わりやすい方法で情報公開をしていく工夫が求められますね。
もし、「まだこうした説明を行っていない」という方がいらっしゃれば、早急に対応していただきたいものです。
なお、この制度は前回ご説明した派遣労働者への派遣料金の明示 とは異なりますので、この点も注意が必要です。
株式会社レイクウイング様
代表取締役社長 高木 透様
2005年、滋賀県湖南市で創業し、人材派遣業や人材紹介業を営まれる株式会社レイクイング様。「人との出会いを大切に」を合言葉に、地域密着型の人材育成&活用事業を展開されています。
自らキャリアカウンセラー(CDA)として、キャリアカウンセリングや障がい者就労支援にも取り組まれる高木透社長にお話しをお伺いしました。
ホームページで人材派遣に特化した社労士さんを探していて、電話で問い合わせしたのがきっかけでした。有料職業紹介事業の許可を検討していたのですが、迅速に親切丁寧に対応していただいたので、すぐに依頼することを決めました。
滋賀と三重ということで少し距離がありましたが、その懸念はすぐに解消しました。やはり人材派遣のプロに依頼したことは、正解だったと思います。定期的に訪問していただき、三重にも縁ができたことに、とても満足しています。
第一印象は、すごくナデックのカラーが出ているということです。セミナーじたいが有意義なことはもちろんですが、スタッフのみなさんの気配りがとてもよくて、お客様を大切にしていることがしっかり伝わってきました。
私自身も第一回企業成長塾の講師を務めさせてもらいましたが、参加どうしの交流がとても活発で、楽しく充実した時間を過ごせました。また、毎回の小岩さんのミニレクチャーも、ポイント解説が端的で学びが多いですね。
以前は別の社労士さんとお付き合いしていましたが、人材派遣に詳しい方ではなく、質問しても一般論しか答えてもらえませんでした。事務手続きでも、現場のスタッフが怪我をしたとき手続きに混乱したり、社会保険の手続きが遅れることもあったのです。
ナデックさんと契約してからは、スタッフの方も含めてきめ細かなフォローをしてもらえるので、本当に助かっています。労働基準監督署や年金事務所の調査も、任せて安心だと感じています。
派遣会社ですから労働局と関わることも多いのですが、いつも的確に対応してもらっているので、助かっていますね。職業紹介事業の件で、労働局に走ってもらったことなどは、特に印象に残っています(笑)。
小岩さんには、社労士の分野以外についても、どちらかというとコンサルに近い切り口でアドバイスをお願いしています。ときとして経営全体の指針やヒントをもらえるので、頼りがいがありますね。
派遣スタッフとは、メールや電話を使って、一人ひとりと対話することを心掛けています。人間関係はやはり接触頻度で決まっていくので、トラブルが起こる前に話しを聴くことが第一だと思っています。
仕事に悩みを抱えたり、家庭に問題があると、自然に電話が多くなってきます。そのときは、必ず直接会うようにしています。帰りに事務所に寄ってもらって話しを聴くだけでも、トラブルの芽は摘み取れるものです。
労務にかぎらず、経営の総合プロデューサー役になってほしいです。経営者の味方になり、悩みを聴いてもらうことで、会社を外から支える要の存在になってほしいです。その意味では、今後も期待するところが大です。
これからは、ますます有益な情報を提供してもらい、ときに指針を授けてもらう中で、末永いパートナーとしてお付き合いしていってほしいです。ぜひ今後とも、よろしくお願いします。
高木様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
2012年8月
]]>株式会社パーソナック(人材登録プラザ サテラ)様
http://www.satela-net.com/
三重県に本社を置く、三重県、岐阜県、愛知県での人材派遣会社。
2008年のリーマン・ショックを発端とした派遣切りの厳しい時期を乗り越え、新たなステップに向けて邁進されている鈴木昇社長と橋爪雅典部長にお話をお伺いしました。
小岩さんがフラッとウチに来たのが最初ですよ(笑)。
社労士さんが飛び込みで営業に来られるのは珍しいなと感じました。
その時には、ほんの少しの時間で帰ってもらったんですが、とても熱心だったのを覚えています。
実は、別の社労士さんと契約していたんですが、その社労士さんは派遣について、あまり詳しくなかったんです。
ナデックさんは、派遣業界に強いと言われていたので、派遣業は特殊な部分がありますから、とにかくもう少し詳しく話を聞いてみようと、鈴鹿にあるナデックさんの事務所へお伺いしたんです。
本来はあまり変えるものではないかもしれませんが、私はそれが必要だと思ったらパッと変えてしまう方なんです。
まず、前の社労士が派遣業についてあまり詳しくなかったということ。
そして、小岩さん自身が独立前に派遣会社に勤めていた経験もあるそうで、派遣業界に詳しいということが話をする中でよくわかったこと。
何より、これからの派遣業についての感覚・考え方が私たちと同じだったことです。
派遣業界のグレーな状況を透明度のあるものに変えていきたいという気持ちが一致しました。これからの派遣業界がどうあるべきか、どうしていきたいか、そういった気持ちが同じ方だと感じたんです。
それに、話をする中で小岩さんの誠実で真面目な人柄も伝わってきました。当時は開業したばかりでしたが、これから伸びるぞ、と思いましたよ。
本当に蜜にお付き合いをさせていただいています。
小岩さんには、当社の慰安旅行にも一緒に来ていただいて、その中で社員に勉強会を開いてもらったこともありますよ。
それに、困ったことがあると、社員がすぐに直接電話をして質問させてもらえる体制なので、本当に助かっています。
派遣に登録されている方や、派遣を頼む企業様に対してあやふやな点を残さず、すぐにクリアにできるので、安心して当社に登録・ご依頼いただけるのではないでしょうか?
ナデックさんはいわば営業ツールのひとつと言っていいかもしれません。
リーマン・ショックの影響で、全国的に派遣切りが問題になっていた時期に、当社でも岐阜県大垣市で解雇をしなくてはいけない事態がありました。
この時には、ナデックさんにも一緒に取り組んでもらい、派遣登録者との話し合いにも同席してもらいました。
デリケートな問題ですから、ナデックさんに同席してもらえたのは非常に安心感がありました。おかげで、大きなトラブルに発展することもなく、円満に解決することができました。
どうしても私たちでは手におえない事があるので、そんな時に専門家として助けていただけるのは頼りがいがありますね。
人が多いですし、一般の雇用契約とは違いますから、やはりトラブルは起こりやすい業態ではあると思います。
小岩さんは、特定社会保険労務士の資格を持っていらっしゃるので、万が一、調停が必要となった場合でも対応をお願いできるので、そういった点でも安心感があります。
とはいえ、まずはトラブルが起こらないようにすることが一番大切ですけどね。
派遣業は、法律を無視しては成り立たない事業だと思います。
逆に言えば、きちんと法律通りにやっていけばトラブルも起こらないはず。
人が多いので、社会保険やその他法律で必要なことをすべてきちんと行っていると煩雑な作業が増えることになります。
しかし、“そこまでやらなきゃいけないのか”というくらいまでやらなくてはいけないと思っています。
法律に遵守することで、登録していただいている方に安心して働いてもらえるんです。
その分、ナデックさんには期待するところが大きいですよ。
リーマン・ショックでかなり厳しい時期があったので、一時期勉強会も中断していましたが、またスタートさせる予定です。
一人一人がスキルアップすることはとても大切なことだと思いますから。
その時には、またナデックさんにもご協力いただくことがあると思いますので、よろしくお願いします。
本当に色々な意味で変化が多くありましたね。
派遣の規制緩和から派遣業界への注目が高まり、ニーズが増えた時期も、逆にリーマン・ショックから急激に派遣業界に厳しい風が吹いた時期もありました。
それに、労働者派遣法の改正もありました。
本当に、山あり谷ありの中を、ナデックさんにも一緒に乗り越えてきてもらったという感じがします。
これからも、様々な変化があると思いますが、私たちはそれに対応していかなくてはいけません。ナデックさんにも一緒にこれからもがんばってほしいと思っています。
それに、ただ、現状に甘んじているだけではなく、エンジニア部門でCADスクールを開設するなど、新しいことにも取り組んでいこうと計画をしているところです。
それらについても、ぜひ相談に乗ってほしいと思っています。
先ほども話しましたが、今後、これまでのノウハウを活かしながら、新しいことにもチャレンジしていきたいと思っています。これからの社会に必要とされるものに、しっかりと対応していけるように色々と計画していることがあります。
これから、具体的にそれらに取り組んでいく際には、ナデックさんの協力は不可欠ですから、また相談させていただきます。
ナデックさんには、現状維持をすることだけではなく、新しいことにチャレンジしていく時に、私たちと一緒に前向きに取り組んでいただけるような社労士であってほしいと思っています。
鈴木様、橋爪様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
2011年1月
取材制作:カスタマワイズ
派遣労働者の賃金ではなく、「派遣料金」。
すなわち、派遣元が派遣先からもらう料金を、派遣労働者に伝えなければならないのです。
派遣元が派遣労働者に派遣料金を伝えれば、賃金との差額がひと目で分かります。
いいかえるなら、「あなたに払っているのはこれだけの金額だけど、実際には派遣先から、これだけもらっているのだよ」というメッセージ
派遣会社にとっては、とっても厳しい改正内容ですね。
明示すべきタイミングは、
①雇入時
②派遣開始時
③派遣料金の変更時。
10月1日からの施行ですが、みなさんきちんと実施されていますか?
派遣料金を明示するというと、派遣労働者一人ひとりに該当する金額と思わる方もいますが、必ずしもそうではありません。
派遣労働者ごとの派遣料金のほか、事業所の派遣料金の「平均額」でも大丈夫です。
「平均」であれば、必ずしもその派遣労働者の分をしめす数字ではない。
このことを聞いて、「すこし安心した」という方もいます。
個々の労働者ごとに明示するとなると、実務的にも大変ですね。
具体的には、毎年提出する事業報告書の中から、数字を拾い出して明示することになります。
要はマージン率の計算の基礎となる数字ですが、これからは報告書の位置づけがますます大事になっていきますね。
新たに派遣労働者を採用したときは、雇用契約書(就業条件明示書)で、
賃金 : 時給1,200円 通勤手当300円/日
派遣料金 : 13,000円/8時間
のように記載することになります。
これは、書面で明示しなければなりません。
もし、「まだやっていないよ」という方があれば、早急に対応いただきたいものです
]]>
こんな不満や愚痴をもらす人は、少なくありません。
「マージン率」とは、簡単にいえば、派遣料金(売上)と派遣賃金(人件費)との差額。
いわば粗利のようなものですね。
今回の改正で、これを公開しなければならなくなったのです。
国から許可を受けなければできない業務は数多くありますが、これほど厳しい報告を義務づけるケースは少ないですね。
これからは、きっちりとした対応と実務処理が必要になってきます。
ただ、マージン率は、派遣社員1人1人のものではなく、派遣契約単位でもなく、あくまで事業所全体の平均です。
ここは、けっこう勘違いしている人が多いですね
派遣社員Aさんなら、Aさんの派遣料金と賃金から、1人分のマージン率を計算するわけではありません。
具体的にAさんに関するマージン率を報告する義務があるわけではまったくないので、この点は安心してください。
あくまで平均額が計算されるに過ぎませんから、以前一部の論調にあったように、派遣会社のマージンがそのまま公開されるわけではありません。
計算するのは事業所単位であり、会社単位ではないため、この点は注意する必要があります。
マージン率の公開については、「派遣会社いじめ」ではないかという声もあります。
私も、そこまではいえないにしても、この公開じたいの意義には悲観的です。
ただ、行政の関係者や専門家の方と話しをしていると、印象を少し違うようです。
労働局の説明会などでも、「マージン率の金額で判断することはない」と語られ、決して「いじめ」ではないという解説に力が入っています。
そう、正確に算定して公開すれば、この点はそれでOKです。
ただ、ホームページに公開するにしても、パンフレットに掲載するにしても、見せ方は大切ですね。
すなわち、法定の項目以外にも、管理費や福利厚生費などの内訳を示した方が、かえって正確に趣旨が伝わる。
派遣会社は、決して人件費の「ピンハネ」をしているわけではないのです。
それでも、世間では、一部にそうした声があることも事実です。
法改正がされたからこそ、これからはさまざまな工夫が必要になってきますね。
もちろん、法律(省令)で定められた方法でマージン率を計算しなかったり、適切に公開しなかったりしたら、大きな問題です。
結果的に厳しい指導を受けたり、管理状況が問われることもあるので、十分に注意していただきたいです。
マージン率やその公開方法について疑問がある方は、お気軽にご質問ください
]]>
私もセミナーなどでしばしばお話ししていますが、派遣元・先の両方に関わる点こそが、実務上注意しなければならないポイントなのです。
その最たるものが、「離職後1年以内の労働者の派遣の禁止」です。
これは、もともとA社で働いていたBさんが退職した場合、辞めてから1年間は、A社はBさんを派遣社員として受け入れてはいけないというルール。
今まで勤務していた人が家庭の事情で退職したけど、しばらくしたら派遣さんとして戻ってきて、また頑張って・・・。
こんなケースは決して少なくはないですね。
私が知るだけでも、結婚・出産や家族の介護、配偶者の転勤を理由に退職したり、経済的な事情から派遣社員として復帰するなど、いくつかのパターンがあります。
にも関わらず、この改正点は新聞などでもあまり触れられていない気がします。
今回の派遣法改正が多岐に渡ることと、このルールが少し複雑で世間的にはなかなか理解しづらいことも、考えられるでしょう。
実際には離職して1年以内の労働者には厳格に適用されるルールなので、現場実務への影響はとても大きいのです。
派遣先さんでもまだ知らない方も多いので、どんどん情報として伝えていっていただきたいものです。
このルールの例外は、「60歳以上の定年退職者」。
「60歳以上」でなおかつ「定年」を迎えた人であれば、退職してから1年以内でも元の職場で派遣社員として働いてもらうことができます。
来年4月からの高齢者雇用安定法の改正にも対応したルールですが、これからは高齢者の方の雇用ルールの構築が、今まで以上に重要になってきます。
在職中の年金の問題も含めて、企業が人材を有効活用する上での大切なテーマですね。
退職後1年以内に派遣社員を受け入れてはいけないというルールは、「事業所」ではなく「会社」単位で判断されます。
ですから、10月31日に名古屋支店を退職した人を、翌年4月1日から派遣社員として受け入れたいという場合、同じ名古屋支店で許されないことはもちろん、東京本社でも、三重営業所でも、認められないのです。
たとえ短期間のパートやスポット的なアルバイトとして勤務していたに過ぎない場合も、同じです。
この点は、本当に過酷なルールなのです。
大きな会社の場合、はるか遠くの支店や営業所で、しかも短期のパートで勤務していた人を100%管理するのは相当困難ですが、これは派遣元から派遣先に対してなされる通知を見て、派遣先が判断することになっています。
派遣先への通知には、氏名、性別、保険の加入状況などが書かれていますが、名前や性別を見て、「この人は、半年前にうちにいた!」ということをチェックするわけですね。
理屈の上では整然としていますが、実務的にはかなりハードルが高い部分もあると思います。
現実的には、派遣元の方でもある程度は協力や配慮をしていく必要がありますね。
派遣登録や雇用契約を結ぶ際に、本人と派遣元との信頼関係をしっかりと構築する努力が、今まで以上に求められるでしょう。
]]>
派遣会社のみなさんからの質問がもっとも多い改正点のひとつです。
従来からグループ企業内派遣への規制は強化される方向にありましたから、子会社や関連会社を持つ派遣会社にとっては、気が気でないところですね。
「8割」というのは、派遣労働者全体に占める、「グループ企業」(関係派遣先)の割合。
すなわち、派遣労働者全体を10としたとき、グループ企業に派遣される労働者の割合は、最大でも8割までにしなければならない。
関係派遣先には、親会社や子会社やなどの関連会社が含まれます。
そもそも親会社が人材事業部として小会社などを作って派遣事業を営むケースは多かったため、「8割」という数字は決して現実離れでもないのです。
「8割」の判断を行う数式は、
(グループ企業の派遣労働者の総労働時間-60歳以上の定年退職者のグループ企業の派遣労働者の総労働時間)÷すべての派遣労働者の総労働時間。
すなわち、賃金でも、労働日数でもなく、「総労働時間」で計算する。
そして、「60歳以上の定年退職者」の分は、差し引くことができます。
高齢者の割合が多い派遣事業の場合は、実質的にグループ企業内派遣が許されるケースが出てくるため、新たなビジネスモデルになる可能性があります。
私も、実際に何社かのクライアントで立案したり、アドバイスを行っています。
この規制に抵触してしまうと、行政からの指導・助言を受け、さらなる指示にも従わない場合には、許可取消しや事業廃止命令になります。
非常に重い処分が行われることになるため、派遣会社や派遣先にとっては、重大問題です。
リスク回避方法としては、合併や分社化などを勧める専門家もありますが、私はあまり無理な方法は推奨しません。
現実的なのは、やはり60歳以上の労働者の活用、そしてなによりグループ企業以外の取引先の獲得でしょう。
実際に課題に直面するクライアントには、さらに突っ込んだ方法をアドバイスしています。
これから事業報告書の提出時期を迎えるにあたって、少しでも不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
]]>
今日からは、それぞれの改正点について、ポイントを絞って解説します。
第1回は、日雇派遣の原則禁止です。
ここでいう「日雇派遣」とは、「日々または30日以内の期間を定めて雇用する派遣労働者」。
日々雇用の人だけでなく、30日以内の期間雇用者は、すべて「日雇派遣」です。
また勘違いされる人も多いのですが、禁止されるのはあくまで日雇「派遣」ですから、日雇労働者を雇用すること自体はまったく問題ありません。
日雇禁止を受けて、1日単位で直接雇用の労働者を紹介する「日々紹介」も、脚光を浴びつつあります。
そして、日雇派遣禁止には、例外があります。
①60歳以上の高齢者
②昼間学生
③年収500万円以上の生業とは別の副業
④世帯収入500万円以上で主たる生計者以外
しばしば質問を受けるのが、③④です。
いずれも「500万円以上」という要件ですが、意味がまったく違います。
③は、1年分の主たる業務の収入が500万円以上の場合。ここには、派遣就業の収入は含みません。
④は、生計を一にする家族の1年分の収入の合算が500万円以上の場合。
ひとつの勤務先で500万円か、世帯全体で500万円か。違いは大きいですね。
ここでの大きな問題は、収入要件を派遣先がどうやってチェックするか。
所得証明書や源泉徴収票で確認するわけですが、やむなく本人が用意できない場合もあるはずです。
そうした場合は、合理的な理由があれば、本人からの本人からの申告があればよいとされています。
会社が本人に「書類を確認させてください」といって、どうしても応じてくれないときは、誓約書によって代えることは可能なのです。
あと、よくある質問としては、「派遣期間が31日で、特定の曜日だけ就業する場合はどうか?」というものがあります。
このケースは、現在のところ適法だと理解されています。
契約が31日でも、結果的に数日しか勤務しないような例は禁止に該当するとされていますので、曜日特定のケースはほとんど唯一の例外ですね。
契約期間が反復継続されてきても、最後の契約が30日以下であれば違法になるので、注意していきたいものです。
]]>そのこともあって、派遣会社や派遣社員を受け入れる会社の興味関心は、かなり高いものがあります。派遣会社の社内勉強会などでも、参加者のみなさんの熱気はすごいですね。
今年は各地で改正派遣法の講師としてお話しすることも多いのですが、「改正法」というテーマにこれほど真剣な眼差しが集まるのは、めずらしいことだと思います。それだけ、今後への影響が大きい内容なのですね。
日雇派遣の原則禁止やグループ企業派遣の規制が大きな話題になっていますが、注目しなければならないのは、それらだけではありません。むしろ、日雇やグループ企業派遣の問題への対応は、多くの会社で収束しつつあります。
10月1日の施行日を迎えた今、会社がもっとも対策を講じなければならないのは、派遣元にも派遣先にもともに関わる改正内容の部分です。
私は、改正法セミナーでは、しばしば改正内容を派遣元と派遣先にまとめた一覧をお示ししますが、その表でいうところの両方に関わる改正点。現場対応としては、むしろここが一番のポイントなのです。
にも関わらず、世間ではなぜか日雇、グループ派遣、マージン率ばかりに注目が集まっています。私からすれば、やや不思議に映りますね。
派遣元にとっては、今回の改正でもっとも留意すべきは、派遣先(取引先)との関係への影響です。派遣先にとっては、もちろん改正によって自社が直接関わることになる点ですね。
その意味では、離職後1年以内の元従業員の派遣受入れの禁止、派遣先の都合で派遣契約を解除するときの措置、派遣社員への均衡待遇の確保。そして、3年後施行の労働契約申込みみなし制度。
これらの点が最重要といえますね。
最近の勉強会でもお話ししていますが、今回の改正で派遣元が取り組むべき一番の課題は、派遣先に対する改正内容や今後の対策についての説明・周知・啓蒙です。
クライアントに対する丁寧な説明はいうまでもないことですが、さらに周知や啓蒙といった視点も欠かすことができません。
派遣法に基づく人材ビジネスのプロとして、今ほど情報発信や企画立案が求められる時代はありません。
ある派遣会社では、自ら改正法解説のセミナーを主催して、派遣先や関係企業から好評を得ており、情報発信のネットワークをづくりを進めています。
別の派遣会社では、日雇派遣やグループ企業派遣への規制強化に先駆けて対応した高齢者特化型の派遣システムを構築し、各業界への提案に奔走しています。
またある派遣先では、複数の派遣会社と連携して派遣社員やアウトソーシング活用についての勉強会を定期開催しており、新たなモデルや協力関係の方向を模索しています。
いずれも派遣法の専門家の立場から、私たちがアドバイスしたり、外部からサポートしていたりします。
改正法が施行され、新たな派遣法のルールが適用されることで、こうした流れもますます加速していきそうですね。
派遣元はもとより派遣先、そして請負に関わる事業も、積極的な変化なくしては成長・発展が難しい時代です。
これからのモデルに興味のある方は、お気軽にご相談ください。
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